オリックス大補強の舞台裏 改革を託された男の哲学(下)
「補強は120%だけど、90%くらいからのスタート」
そしてもう1つ、ひそかな野望が2020年の東京オリンピックにオリックスの選手を輩出すること。
オリンピックの正式種目として野球競技が復帰するか否かはまだ決まっていないが、国際オリンピック委員会(IOC)が昨年末の臨時総会で、実施競技を見直す改革案を承認したことにより、開催都市が複数種目の追加を提案できる権利が認められた。そのため、東京オリンピックで野球が復活する可能性が高まってきている。
加藤氏は5年後のビッグイベントを念頭に置きながら、ドラフトの指名選手も選択したのだという。
「野球がオリンピック競技に復帰することが決まった時にうちの選手が主力としてキーになるポジションにつくことを目標にしようとスカウトには話しました。理想論として、ですが。たとえば、ピッチャーで佐野が選ばれ、キャッチャーで若月が選ばれるというふうになればいいですよね。WBC、もしくはオリンピックで日本の野球が世界からフォーカスされる時にその所属がオリックスというのはすごくマーケティング的には価値のあることです。だから僕は中長期目標の1つに入れてるんです」
チームを常勝軍団へと成長させていくと同時に国際舞台で活躍できるような選手を育成・輩出する。これまで長らくBクラスに甘んじていたオリックスにとっては壮大な野望だが、昨季の躍進や補強を見れば、それは決して不可能なことではない。
その目標に向けて大きな一歩を踏み出すには、まず今季の結果が重要だ。
「このオフは120%くらいの補強はできたと思います。だけど今の時点でまだ僕らが知らない情報があるかもしれないし、チームが始動した時に怪我人や今はまだ見えていないトラブルが出てくる可能性もあります。だから僕の中では7掛け、8掛けくらいの気持ちでいますね。補強は120%だけど、90%くらいからのスタートなのかなと。あとは始まってみないと相手あってのことなので」