巨人4連覇のキーマンは? 原監督が語る唯一“替えの効かない”存在とは

「唯一、代わりがいないという意味では山口はそういう位置付けの選手」

 山口は神奈川の名門・横浜商業高校からいきなりアメリカのルーキーリーグに挑戦し、帰国後はテストから育成契約で巨人に入団。支配化選手となった2007年に頭角を現すと、翌08年から7年連続60登板を記録(09、10、12年は70試合登板を記録)して、巨人の勝利の方程式を担うビッグ・プレーヤーとなった。

「慎之助や(村田)修一が4番を打てなければ誰か作ればいい。慎之助が外れたキャッチャーには小林か相川か、それとも誰か違うキャッチャーが出てくればいい。でも、いまこのチームで唯一、代わりがいないという意味では山口はそういう位置付けの選手になる」

 原監督もこう語るように、山口のリリーフ陣における存在感、原監督が進める野球における比重というのは、他に代え難い価値があるわけだ。

 ここ10年ほどの傾向として、7回以降の3イニングを制するために、セットアッパーが非常に重要視されるようになっている。

 昨シーズンでリーグ3連覇を果たし、07年以降の8年間で6度のリーグ優勝、2度の日本一という原監督の実績の陰にも、セットアッパーとしての山口の存在があったことは紛れもない事実である。

「山口を一番、有効に使う方法は、あえて役割を固定しないことなんです」

 原監督が説明したことがあった。

「終盤に山口という駒を持っていることは、味方にしてみれば非常に心強いし、相手にとってみれば非常に嫌なはずです。なぜかというと、勝負の中で左打者というのは常にカギを握る存在になる。その左をどこで使い、どこで抑えるか。その駆け引きは山口がブルペンにいることで、圧倒的に優位に進められるからなんです」

 クローザーとして固定すれば、マウンドに上がるのは9回に限定される。しかし、7回からの3イニングで相手のもっとも左打者が強いところ、また左の代打を出したいところで山口を投入することで、最大の武器を潰すことができる。

 試合の終盤を制する戦略的な観点からも、この左腕が果たしてきた役割は大きかったのである。

 だが、長年の登板過多が左腕の肉体を蝕んでいた。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY