【パ×Full-Count】「ファンのために」ソフトバンクがリードし続ける「IT」と野球の融合
新技術「iBeacon」も積極的に導入、その使い方とは?
さらに、キャンプアプリには、サービスエリアや道の駅に立ち寄ることでキャンプ施設にて記念品を受け取ることができたり、iBeaconを使って会場案内を見られたりするシステムを搭載。今後、iBeaconで人の流れを把握できるようにするため、今キャンプからテストも行っている。
「将来的には人流を解析し、キャンプ地のほか、ヤフオクドーム内においてもイベント内容や時間との相関、適切なオペレーション施策の検討などの参考資料として使用しようと考えています。ただ、iBeacon対応端末の普及度の低さなどから現時点ではテスト段階として考えています。現在は1日のみ簡易に分析した結果ですが、松坂投手が複数のグランドやブルペンに移動するのに従い、人流がそちらに流れているのがはっきり分かり、工藤監督、他選手などの効果測定を楽しみにしている状況です」
大野部長の説明にも出てくるiBeaconとは、現在、注目を浴びている新技術。発信側のビーコン端末とその受信に対応したiPhoneアプリの組み合わせで成り立つシステムで、店舗からの情報などが近くを通った客に通知されたり、店舗側がユーザー側の動線を分析することができる。ソフトバンクはこの最新システムを積極的に取り入れるなど、ITの分野では球界で最先端を走る。
iBeaconは昨年、開催された鷹の祭典で初めて導入。ビールなどの売り子が近くを通った際にファンの携帯電話が反応し、さらに売り子のプロフィールなどを見られるという仕組みを作った。これはビーコン端末を売り子に持たせる逆転の発想で可能になったが、評判は上々。大野部長は「実際にビールメーカーさんからも売上が上がったと評価していただけましたし、売り子とお客さんとの間に親近感が湧いて、売り子が近づいてきたら『じゃあもう一杯』というような相乗効果も現れました」と振り返る。
また、iBeaconを取り入れる前から設置されている「シスコシート」も画期的で人気が高い。一席ごとにiPadが付いており、ファンが相手選手の情報を調べたり、球場名に設置された数十台のカメラによる様々な角度の映像から試合を楽しむことができる。これは世界初導入のシステムだ。
豊富なアイデアと、それを実行に移すスピード感。「そういう環境にあるというか、(社内に)そういう理解があります。逆に(開発が)遅れると『何をやってるんだ』って話になるんです」と大野部長は笑う。ファンのために、これからもソフトバンクは野球とITの融合を進めていく。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count