MLBで高騰する“キューバ株” 契約を巡る課題と国際ドラフトの可能性
メジャーで大きな注目を浴びるキューバ人選手
資本主義社会では、需要と供給のバランスにより価格が決まる。需要が供給を大きく上回れば、当然のごとく価格は跳ね上がっていくのだが、時には価格が常識の枠から飛び出すことも稀ではない。この現象はメジャーリーグでもたびたび生じることだ。少し前で言えば、旧ポスティングシステムをめぐる入札金だろう。
入札額が明らかにされないブラインド・オークションと言われる形式で行われ、入札金最高額のチームが独占交渉権を得られたために、いわゆる「目玉」選手が対象となった場合には入札金が高騰。2006年オフに西武からポスティングされた松坂大輔(現ソフトバンク)との交渉権は、レッドソックスが5111万1111ドル11セントで落札し、2011年オフのダルビッシュ有(当時日本ハム)の場合は、レンジャーズが松坂のそれを上回る5170万3411ドルで独占交渉権を落札した。入札額が高騰すれば、資金力に乏しい地方球団は蚊帳の外で、球団間の格差は広がる一方だ。
2013年オフ、歯止めが利かなくなりはじめたマネーゲームに業を煮やした地方球団のオーナーたちがポスティングシステムのあり方に意義を整え、現行の譲渡金(上限2000万ドル)を支払う意思表示をしたすべての球団が、当該選手と交渉することができる、という制度に変わった。新制度の適用第1号は、ご存じのとおり、楽天からヤンキースへ移籍した田中将大だ。
現在、大きな注目を集めつつあるのが、若手キューバ人選手をめぐる契約だろう。ここ数年、ヤシエル・プイグ(ドジャース)やレオネス・マルティン(レンジャーズ)、ホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)ら母国から亡命したキューバ人選手がメジャーリーグを席巻。“キューバ株”が一気に跳ね上がったことに加え、25歳以下の若手選手がメジャーでプレーしたいという夢を追うために頻繁に亡命するようになった。