データ活用で浮上目指す楽天 将来の“フロント候補”を育成?

プロ野球チームは、統計や解析を学ぶ学生の進路になっていくか?

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参加者は将来の“フロント候補”かも?【写真:編集部】

 2位から6位にも興味深い発表が並んだ。

【2位】(同率)
「イベントが観客動員数に与える影響に関する分析」
 東京大学工学部4年 讃岐 遼行さん

 球団がホームゲームで実施しているイベントを、グッズの配布と、グラウンドを利用した体験に寄ったものに分類し、それぞれ観客動員にどう影響しているかを分析。コストも考慮し利益の形でイベントの評価を行った。

【2位】(同率)
「楽天Koboスタジアム宮城におけるグッズの売り上げ傾向に関する構造分析~売れるグッズとその条件とは~」
 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科修士2年 内川 一明さん

 日々の物販の売上や天候、試合結果などのデータを用いて「どういった状況」で「どういった商品」が「どのような組み合わせ」で購入されているのかなど、全体的な構造についての分析を行った。

【4位】
「投手の酷使と成績低下の関連性」
東京都市大学知識工学部2年 佐藤 優太さん

「(年間の)登板回数×投球数」という数字が高すぎると翌年投手が成績を落とすという仮説を立て、この数字と一定の登板機会を得たNPB在籍投手の2年間のWAR(注1)の変動との関係性を検証。仮説についての一定の有意性を得た。

【5位】
「ホームランボールを捕るための最適座席分析と活用」
日本大学工学部2年 歌丸 裕彬さん

 楽天Koboスタジアム宮城における「ホームランの着弾地点」のデータを整理し、どの座席に座ればホームランが捕れる確率が上がるかを考察。さらにその座席に付加価値を付けて販売する営業面のアイデアも披露。

【6位】
「気体抵抗が選手パフォーマンスに及ぼす影響の考察」
北海道大学大学院工学院機械宇宙工学専攻修士1年 斎藤 勇士さん

 高地の球場で打球がよく飛ぶ現象などをヒントに、気圧=抗力(密度)が管理された密閉型の東京ドームと、開放型の西武プリンスドームでの本塁打の生まれ方に違いがないかを物理的な視点から分析。

 昨年10月頃より企画実施に向けて動いてきた上田室長は、コンテストを終えて「リアルなデータ分析コンテストにしたいと考えていましたが、実際にチームで使っているデータで、チームで行っているのと同じプロセスで企画を立ててもらい、同じポイントから評価するという部分にはこだわれたと思います。これからも続けていくつもりです」と手応えを語った。

 MLBに追随する形で日本でもデータを駆使した球団運営が注目を浴びつつあるが、それを支える人材育成も球界の課題となっている。今回のようなコンテストを通じ、球団内での分析の実際が伝わっていけば、統計解析などを学ぶ学生の進路の対象に、プロ野球チームが自然と選ばれる時代が来るのかもしれない。

注1 Wins Above Replacementの略。選手の貢献を勝利数に換算し、控えレベルの選手が同じ機会出場した際との差を算出したもの。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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