【小島啓民の目】日本に衝撃を与えたリナレスの捕球動作 世界各国で異なる野球の「基本」
衝撃を受けたリナレスの捕球の動作
日本の指導者が見たら「適当だな」と感じると思います。日本とキューバの指導の違いをここで話すつもりはありませんが、「今まで教わってきた基本って何だったのだろう」とこの遠征で強く感じたことを思い出します。
キューバのスーパースターでオマール・リナレス(元中日ドラゴンズ)という選手がいました。当時の我々の最大のライバルであった彼の「ボールを捕る動き」、「グラブの使い方」は我々が教わったような動きとは全く違います。
「正面に入って、捕球する際は左足の前で」と教わった我々は、(上手く表現できないですが)グラブハンド(片手)だけでボールを掴み捕るような捕球をするリナレスの動作に衝撃を受けました。思わず「上手い」と言ってしまうほどです。バッティングフォームなどもまったく日本とは違いました。
キューバ選手の中には、両手で握っているバットグリップの間隔が開いている選手が何人もいました。日本では普通、両手を一つにしてバット操作が簡単にできるようにと指導をします。キューバ野球は、世界大会への想いを強くさせてくれた源でした。
その後、指導者となり、JOC在外研修制度でアメリカに単身野球指導留学し、サンディエゴ・パドレスにお世話になった時は、キューバの自由さとは異なる非常に管理された野球を勉強させられました。
プレーヤー・マニュアル(球団の指導マニュアル)に沿って、指導がなされるわけですが、三塁手がドラックバントで転がったボールを素手で捕る際に「打球の質(速度)によってどう掴むのか」ということろまで指導されていました。