右肘靭帯損傷のダルビッシュ 最善の選択肢が手術である理由とは
ダルビッシュ本人にとっても、このタイミングで手術を受けた方が得策?
ダルビッシュ本人にとっても、今このタイミングで手術を受けた方が得策だ。来週早々に手術を受ければ、早ければ来季前半にメジャー復帰の可能性がある。手術後すぐに肘の状態や成績が安定することは難しく、復帰したその年は大半の投手が「調整」の期間に充てている。
手術経験者の誰もが口を揃えるのは「手術の効果が感じられ、結果が伴うようになるのは、手術から2年を過ぎた頃」だということ。ダルビッシュの場合、契約最終年となる2017年が2年目にあたる。シーズン終了後にフリーエージェント(FA)になることを考えると、その年は安定したパフォーマンスを披露しておきたいところ。早く手術を受ければ、それが可能になり、FA市場での価値を上げることができるだろう。
球団のメリットは、極めてビジネスライクな話になるが、ダルビッシュが怪我をした場合に備えて、契約に“保険”の条項が付記されていたこと。つまり、ダルビッシュが怪我で手術を受け、1年を棒に振った場合、その年俸の一部が保険金で支払われるということだ。
今季、ダルビッシュの年俸は1000万ドル(約12億1000万円)だが、レンジャーズはその半分の500万ドル(約6億5500万円)以上を保険金で賄うことができる。この保険金を元に、外部から戦力を獲得ができるというわけだ。ちなみに、リハビリでの治療の場合は保険金は支払われないという。ダニエルズGMは、現時点での外部からの補強は否定しているが、自由になる資金を持っていて損はない。
ダルビッシュは近日中にも最終的決断を下して、記者会見を開く予定だ。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
佐藤直子 プロフィール
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。