打者に不利!? 賛否両論が巻き起こる時短ルールは定着するのか
オルティスは早くもルール無視を高らかに宣言!?
一方で賛成の意見もある。カージナルスのマシーニー監督は「今のところ新しい取り組みに反対する理由は見当たらない。ファンの声が反映されているように思う」。マーリンズのイェリッチも「僕は基本的に打席を外さないから気にならない。リズムはあまり変わらないかな」と言うように、気にしていない選手もいることにはいる。
一番の問題は試合終盤の大事な場面で新ルールが邪魔にならないか、という点だろう。トニー・クラーク選手会専務理事は「野球には時間を取る必要がある場合がある。選手には自分のリズムを保つように説明している。打席から遠ざかる時間を短縮するのが目的で片足を残しておけば、打席を外しても大丈夫だと理解している」と説明する。
実際、打席から完全に出たとしても審判から注意されたりすることは無いようだが、癖になっている選手も多いだけに定着するまで時間がかかりそうだ。レッドソックスの主砲オルティスは「打席を外す自分のスタイルを変えるつもりはない。罰金? 財産が空っぽになるな」と高らかにルール無視を公言している。
試合時間が長くなっている原因としては、選球を重視する攻撃の定着、投手の小刻みな継投策など「野球の変化」の影響も大きいだろう。大リーグ機構としては「削れるところから」という考えだろうが、どの程の時短効果が得られるのか。そして、シーズン通した罰金額がどれくらいに上るのか。オルティスでなくとも、気になるところである。
【了】
伊武弘多●文 text by Kota Ibu