【小島啓民の目】阪神・藤浪、巨人・杉内に見る投手の球速向上のポイントとは
「ボールをうまく投げられない」選手がいた場合、その原因を見抜くことが重要
その原因の多くは、片足で立った軸足の膝が、投球をする際に自分の体を支えることができずに最初に前方向に動いてしまい、その時点で投球ラインから外れてバランスを崩してしまうということのようです。本来は投球ライン上に沿って動いていかなければいけません。
疲れてきた時に捻った体を返すことができず、ボールが抜け出す。さらに、そもそもボールに角度をつける行為は、ボールのコントロールを難しくすることにつながってきます。このように自分の体を上手く使いこなすことができなければ、正しいフォームを習得できないという大前提があるわけです。
したがって、指導者も「ボールを上手く投げられない」という選手がいた場合には、その原因が、フォームにあるのか、メンタル面が影響しているのか、体力的なものなのかということを見抜くことが重要となります。
ジュニア期の子供は自然とインステップになってしまうことが多いです。戦術や技術という部分を指導するのも大切ですが、まずは体力という観点で練習を組み立てることが結果的に早道となると考えます。そうは言っても、体力的な練習ばかりやっていると選手は面白くないことも事実。ここが指導者の腕の見せ所です。
杉内投手のようになりたければ、杉内投手のような体力をまず手にいれることです。ジュニア期は成長期でもあります。負荷をかけすぎると障害に繋がるケースが多いので、まずは体幹のトレーンングを重視すべきでしょう。あとはランニングです。体のバランスづくりには非常に重要です。鍛え方は、計画的な筋力トレーニング、そして、やはりランニングですね。今、思い返すと、20歳の杉内もよく走っていました。
【了】
小島啓民●文 text by Hirotami Kojima
小島啓民 プロフィール
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。