【小島啓民の目】ロッテ石川、オリ吉田、ハム浦野 飛躍の裏にある変わらないライバル関係
石川の投球の幅を広げた縦カーブの習得
代表レベルと言えども、25歳以下の年齢の選手であれば、まだまだ伸びしろがあると言えます。石川は、吉田のフォーク、浦野のスライダーのように困った時に投げる決まったボールがなく、どちらかというと色々なボールを駆使して打者を打ち取っていくタイプと言えるでしょう。よって、厳しいコース、厳しいコースと意識しなければならず、苦しい投球となりがちと判断しました。
そのためにには、もっと投球の幅を広げる必要があると全日本合宿の初日から本人と話をし、縦のカーブの習得に取り組みました。元々縦のいいカーブを持っていたのですが、あまり投げていなかったというのが本当のところですが。
そして期待通りのカーブができ上がった後は、緩急も使えるようになり、非常に投球の幅が広がりました。東アジア大会では、クローザーとしてカーブを駆使して台湾、韓国のプロ打者を相手に役割をしっかりと果たしてくれ、チームを優勝へと導いてくれました。
何故、石川が素直にカーブを習得に応じたのか?
私が考えるには、更にレベルアップしたいと思う気持ちと吉田、浦野に負けられないというライバル心からではないかと思いました。技術の成長にはライバルの存在は不可欠です。
更にそのライバルのレベルが高ければ高いほど、刺激は強くなります。相手が持ち合わせて、自分にないものなどは特に気にかかるものです。しかし、最終的にはライバルのような選手になる必要がないことに気づき、自分らしくとなるのが常ですが。
したがって、ライバルが出現した時は、自分成長のチャンスと思い、そのように捉えて練習にあたることが大事となってきます。ローテーションをしっかり守っている石川を見て、今でも吉田、浦野はライバルなんだろうなと感じていまし、この気持ちをずっと持ち続けていって欲しいと思います。吉田、浦野にも石川の永遠のライバルとして、更なる飛躍を期待します。
【了】
小島啓民●文 text by Hirotami Kojima