【小島啓民の目】校舎に向かってバッティング 公立だって甲子園にいける、創意工夫の大切さ
学校や国による練習環境の違い、米国では学校の敷地内に専用グラウンドも
センバツ高校野球がつい最近終わったと一息ついたところですが、6月20日からは沖縄で夏の選手権の地方大会が早々とスタートします。高校3年生にとっては、最後の夏となりますので、残された期間を悔いのないように過ごして欲しいと思います。
「高校野球」を振り返ると、職業柄、指導やリクルートで数多くの高校のグランドにお邪魔を致しました。「ここが高校野球のグラウンドなの?!」と思うほどの立派な設備を持っている高校もあれば、校庭の片隅で他クラブと時間を融通をしながら練習を工夫して行なっているチームもあります。
何となく高校のチームが専用のグラウンドや球場を持っていたりすると「高校野球なのに凄いな」という感じを受けてしまうのは、私だけではないでしょう。それほど、通常の高校で専用グランドを持つ高校が少ないということになります。
今から15年ほど前になりますが、アメリカにJOC(日本オリンピック委員会)在外指導者研修生として1年間、指導の勉強に行かせていただき、スタンフォード大学、サンタクララ大学の視察を経て、サンディエゴパドレス1Aチームに1シーズンを通してコーチとして帯同しました。
その際に、私は高校レベルでも学校の敷地内に野球の専用グラウンドがあるのを知りました。フェンスがあるかないかは別として、試合を行なえるだけのスペースは確保されています。広大な土地を持つアメリカらしいというか、スポーツ文化の違いなのでしょうね。
野球、アメフト、バスケットボールは、アメリカ社会の中で文化として根付いており、それぞれの競技とも学校に専用の練習会場がない方が珍しいのです。NCAAルール(アメリカ大学スポーツ界全体の規定)には、専用グラウンドを持たないとリーグに参加できないという規定もありますし、おそらく高校野球もそれに順じた規定があるはずです。
地域単位を主として、数チームをグループ化し、お互いの学校のグラウンドを使用し、ホーム&アウエイの形式で試合を進めて行くリーグ戦方式のシステムも確立されています。
日本のように、「夏の予選だから」と学校の授業を欠席しても行なうような試合システムは皆無であり、ほぼ土日、または夜のナイターがメインとなりますし、一堂に会してトーナメントなどで試合を行なう日本のような形式は、州大会や全米選手権のような大きな大会のみとなっています。