巨人が黒田相手に劇的サヨナラ勝ち 亀井「いいとこ取りしてしまいました」

起死回生の同点打を放った阿部、「ここで打たないと叩かれるなと思って」

 巨人が30日、東京ドームでの広島戦で劇的なサヨナラ勝利を挙げた。8回まで広島先発の黒田の前に3安打と完璧に抑えられていたが、9回に3安打を集めた。先発の高木勇が8回4安打1失点と粘りの投球を見せ、勝ち星こそ付かなかったものの、逆転劇を演出した。

 巨人は1点ビハインドの9回裏、先頭の長野がライト前ヒットで出塁すると、立岡は三振に倒れるが、坂本がセンター前ヒットで繋ぎ1死一塁、三塁とこの試合最大のチャンスを作る。打席に入った阿部はここまで3打数無安打と抑えられていたが、見事に右中間へはじき返す同点打。さらに続く亀井も3打席すべてセカンドゴロに打ち取られていたが、初球をレフトへ打ち上げ、サヨナラ犠牲フライとなった。

 試合後のお立ち台に立った阿部は「最高でーす!」と叫ぶと、サヨナラの余韻さめやらぬスタンドは観客の大歓声に包まれた。

 8回まで、黒田の前に手も足も出ないような状況が続いていたが、「本当にいいところばっかりで、やっぱり凄いなと思いながら打席に立っていたんですけど、何かしらチャンスが来ると思って。高木(勇)も頑張っていましたし、何とかできて良かったと思います」と、喜びを口にした。

「またここで打たないと叩かれるなと思って、頑張りました」と笑った阿部は、苦しい流れだった試合を振り返り「(坂本)勇人がつないでチャンスを作ってくれたので、それをものにできて良かったです」と、9回の同点打を振り返った。

 先発の高木が見事な投球を見せていただけに「(高木が)凄く頑張っていましたし、あと一歩のところで僕らが楽にさせてあげられていないところがあるので、次投げるときは絶対打って、勝利をつけたいと思います」と、チームリーダーらしく高木をねぎらった。

亀井は好投した高木に「申し訳ない。あとで100円あげます」

 続いてサヨナラ犠飛を放った亀井がお立ち台に上がると、場内は再び大歓声に包まれた。

 勝利を決めた犠牲フライについて「いいとこ取りしてしまいました」と謙遜しつつ「3打席、ツーシームで引っかけさせられていたので、何とか逆方向に、思い切って大きいの打てたらいいなと思っていたので、最後、いい打球が上がって良かったです」と苦しめられた黒田との対戦を振り返った。

 亀井は阿部同様、好投していたルーキー右腕に対して「本当に高木には申し訳なくて」と語り、「あとで100円あげます」と笑いを誘った。

 日曜日の試合ではスタメンを外れるなど、なかなか調子が上がらない。チームの勝利をたぐり寄せた一打に対しても「今日は長野さんが打ってくれて、勇人がつないで、阿部さんが打って、みんなで取った勝利なので、僕は申し訳ない気持ちで一杯です、今は」と、最後まで控えめな言葉を繰り返した。

 それでも、ファンの声援に対しては「打席に入るときの声援はいつも耳に入るので、凄くありがたいです」と感謝を述べ、今後の戦いに対して「いつも大事ですが、一戦一戦勝利のために、一生懸命やりたいと思います」と締めくくった。

 思うような戦いができていない巨人だが、この日の勝利で再び5割に戻した。黒田からもぎ取った劇的なサヨナラ勝ちで、チームの勢いを取り戻すことはできるだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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