田中将大は復活できるのか 鍵握る2つの条件

前回登板で見えた復調の兆し、田中はなぜこれほど苦しんでいたのか

 ヤンキースの田中将大投手が9日(日本時間10日午前2時5分開始)のアスレチックス戦(ヤンキースタジアム)で、今季11試合目の先発マウンドに上がる。最近3試合はピリッとしない「エース」に対して、地元メディアからは厳しい声も出ている。批判を封じる快投を見せられるか、注目が集まる。

 4月下旬に右手首の炎症と右前腕部の張りで故障者リスト(DL)入りした右腕は、6月3日のマリナーズ戦で復帰。そこから3試合連続でハイクオリティー・スタート(7回以上を自責2以内)と快投したものの、その後は2試合連続で3被弾と炎上。開幕直後と同様、安定した投球が続かずにいた。

 前回登板の3日のレイズ戦は6回3失点とクオリティー・スタート(6回以上を自責3以内)を達成したが、ESPNは「エースではない」と厳しい論調で報じた。ただ、初回に2失点を喫した後は、直球主体の投球で田中らしさを見せ、復活の兆しを見せていた。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍し、現在は大リーグ中継のテレビ解説も務める野口寿浩氏は、「これで(今後は)大丈夫だなと思いました」とレイズ戦の印象を語る。田中の投球に明らかに改善が見えたというのだ。

 具体的にどこが良くなったのか。

 野口氏は、今季の田中が開幕から不安定だった理由として、ツーシーム主体の投球に切り替えたことを挙げる。

「(原因は)ピッチングスタイルですよね。(去年までの形に)戻したほうがいいような気がしていたんです。ツーシームを多投することによって、どんどん(リリースの瞬間に)体が開いていく。だから、ツーシームじゃなくてフォーシーム(直球)じゃダメなのかなと思っていたんです」

 ただ、レイズ戦は2回以降に明らかに直球が増え、投球は安定した。

「初回までは体が開いた状態で投げてたんですけど、2回以降は戻ったんですよ。コントロールミスが少なかったし、球に力が伝わるから『ヤバイな』という角度で上がった球が、定位置のちょっと後ろくらいまで(しか飛ばない)という形に戻っていました。

 ヤンキースのロスチャイルド投手コーチは、田中が苦しんでいた時に『球種の選択の問題だ』と言っていましたよね。あれは、『ツーシームじゃなくてフォーシームにしろ』と言っていたんだと思います。他の球種はスプリット、スライダーとそんなに変わらないじゃないですか。だから、『球種の選択』というのは、ツーシームとフォーシームの割合を入れ替えなさい、ということだったと思うんですよね」

 体が開いていくとは、どういうことなのか。ピッチングにどんな影響が出るのか。野口氏はその問題点についてこう指摘する。

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