【小島啓民の目】西武・秋山が好調を維持できた理由は? 技術とコンディション維持の重要性

その日のコンディションの中でベストの方法を見つけることの大切さ

 体のコンディションを好調の状態で維持していくことは、それほど生易しいものではなく、ほぼ不可能と言えるでしょう。大なり小なり、どこか痛んだり、疲れていたりと日々の体調の変化は否めないものです。良い選手は、その状態をしっかり受け入れ、「では、その体調の変化にどうアジャストしていくのか」ということを日々考えています。

 例えば、「今日は体のキレがないな」と思ったら、スタンスを少し狭め、体が回転しやすいようにしよう」などの工夫です。ベテラン選手が経験から得たその対処方法を駆使し、年齢から来る体の衰えをカバーして行くことと同じと言えるでしょう。

 成績不振となると直ぐに技術面に問題があると思い、更に練習量でカバーしようとしすぎて、更に悪化するという傾向が若い時代はあります。土台となる体自身に毎日、変化が起きているのですから、その状態を的確に把握し、技術をアジャストして行くという姿勢を持つことが好不調の波を低減することに繋がります。

 甲子園予選が各地で始まり、7月18日からは都市対抗本大会も東京ドームで開催します。アマチュア選手の多くは、ベストコンディションで試合に臨むこと、更にはベストパフォーマンスにて試合に臨むことを目指しますが、なかなかそのような状態で試合を迎えることは難しいと思います。その日のコンディションの中でベストの方法を見つけ出すという着眼点で試合に臨むことが大切です。

 プロ野球選手とアマ選手の考え方の違いは、案外この辺りにあるのかもしれません。

【了】

小島啓民●文 text by Hirotami Kojima

小島啓民 プロフィール

kojima
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

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