今夏のトレード市場は売り手有利 買い手球団が注目している選手は?

買い手チームが注目する選手は…

 一方のナ・リーグは、ア・リーグより分かりやすい構図にあるようだ。10試合以上の貯金を持つのが、中1位カージナルス(+24)、中2位パイレーツ(+15)、西1位ドジャース(+13)の3チーム。これに続くのが東1位ナショナルズ(+8)、中3位カブス(+8)だ。

 貯金6の西2位ジャイアンツ、同4の東2位メッツも「買い手」に回る中、方向性を決めかねているのが、東3位ブレーブス(-6)と西4位ダイヤモンドバックス(-6)。オフに大型補強をしながら借金6で西3位のパドレスも、必ずしも「売り手」に回るようではない。

 現時点で確実に「売り手」になると見られるのは、ア・リーグではアスレチックス、ナ・リーグではフィリーズ、ブルワーズ、マーリンズ、ロッキーズ、レッズの合計6チームだ。「買い手」の数が圧倒的に「売り手」を上回る見込みで、需要と供給の資本主義の原理を当てはめれば、今季は「売り手」に有利なトレード市場となるだろう。おそらく、トップクラスの先発投手を獲得するには若手有望株を3人、今季終了後にフリーエージェントとなる「レンタル選手」の場合でも有望株2人を用意する必要がありそうだ。

 現段階で、「買い手」チームが注目しているのは、先発投手では、ジョニー・クエト(レッズ)、マイク・リーク(レッズ)、コール・ハメルズ(フィリーズ)、ダン・ハレン(マーリンズ)、マット・レイトス(マーリンズ)、スコット・カズミア(アスレチックス)、リリーフ陣では、アロルディス・チャップマン(レッズ)、ジョナサン・パペルボン(フィリーズ)ら。野手では、カルロス・ゴメス(ブルワーズ)、マーロン・バード(レッズ)、ベン・リベア(フィリーズ)、ジョシュ・レディック(アスレチックス)といった面々だ。

 これから2週間後、彼らがどのチームのユニホームを着ているのか、方向性を決めかねているチームがどういう決断を下したのか、改めて見直してみると面白いかもしれない。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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