【小島啓民の目】追われるより追う方がいい? 高校野球の大逆転劇に見る選手の心理状態

今年の地方大会でも見られた逆転劇、大差を逆転する選手の心理とは?

 高校野球では各地区の代表が出揃いました。逆転で勝ち上がってきたチームもありますが、昨年の石川県大会決勝で星稜が小松大谷に対し、9回裏に8点差を逆転したのを思い出しますね。プロ野球では、ほぼあり得ないことですが、高校野球の世界では、あり得るということを証明した試合ではなかったのでしょうか。

 これぞ、高校野球! この試合に代表されるように高校野球は「最後まで諦めない」という粘りの大切さやチーム一丸となるチームワークの重要さを教えてくれる本当に素晴らしい教材となっています。西東京の決勝、早実-東海大菅生など、早実が1イニングに大量得点で大差を逆転したり、大逆転のサヨナラ勝利をしたり、と今年も多くの類似したゲームが全国で展開されています。

 実力が似通ったチーム同士の試合では、一方が序盤の流れを掴んで、前半に大量点で主導権を握るケースとなった時に、リードを保ったまま逃げ切ることは意外に難しいものです。例えば、初回に一挙5点を奪った後、それ以降得点が入らず、後半に追いつかれるということはよくある話です。

 つい気が緩んでしまって、中盤から終盤に追加点が入らず、逆にじりじりと追い上げられ、その重圧から監督の采配が守りに入ってしまう。その雰囲気がプレーヤーにも伝染して、日頃起きないようなミスをやってしまう。このような状況の中で、よく「0対0の気持ちで試合をしよう」と気持ちの切り替えを選手に促すのですが、そう簡単にはいかないものです。

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