原巨人の新打線 見えた逆転Vへの道筋
反骨心秘める吉川のプレー
若武者たちがもたらした勢い、スピードこそが今の巨人に必要なものだった。今年はチームスローガン「新成」を掲げ、これまでの主軸に頼るのではなく、若い芽を育てながら勝つ野球を求めた。
しかし、なかなか伸びのある若手が出てこなかった。結局、ベテランに頼らなくてはならない状況に。阿部慎之助は少しずつ当たりを取り戻してきたが、本来の姿ではない。村田修一も苦しんでいる。投手が頑張っていても援護射撃ができず、原監督は打線の並びについて言及していた。「我慢し、信頼して使うべきか、また違った方法を考えるべきか。考える時間がある」。勝つための方策を模索し続けてきた。
打順の変化の筆頭が、吉川だった。8月4日のヤクルト戦では負傷の坂本勇人に代わって、試合直前にショートで先発出場し、攻守で主将不在をカバーした。22歳の若さや1度、戦力外となった反骨心からくるプレーは指揮官の目に留まり、出場機会は増えた。そのチャンスをしっかりとものにした。
巨人はこの14日のドラゴンズ戦の2回。片岡の四球からの二盗、立岡の犠牲フライで1点を取った。なかなか得点の奪えないチームが無安打で1点を取り、打線を活気づけた。吉川も自身2度目の猛打賞、2打点の大活躍だった。「チームは生き物」と原監督がいうように、毎試合、毎試合、試行錯誤を続けながら今を戦っている。
打順は最後まで固定はされていかないだろう。ただ1ついえるのは、この立岡、吉川の1、2番が持つ勢いは他球団にとっては脅威の存在であること。新コンビから生まれる得点パターンが今後の巨人を上昇気流に乗せていく可能性は十分にある。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count