【小島啓民の目】早実・清宮、九州国際大付・山本に見る時代の流れと日本野球の未来
長距離打者の育成に明るい兆し
早稲田実の清宮幸太郎、加藤雅樹の左打者の3、4番や九州国際大学付属の右の岩崎魁人、山本武白志の3、4番に代表されるようにスケールの大きな選手がクリーンアップを打つ傾向が強くなってきことは喜ばしい限りです。ひと昔前の4番打者は別として、3番打者は、左打者で足が速く、ボールを捉えることが上手い選手が多かったイメージが強かったのですが、今大会を見る限り、クリーンアップの打者は、しっかり振り切るようになってきたと思います。
過去に優勝した智弁和歌山や大阪桐蔭の野球が良い影響を与えたのでしょう。侍ジャパンに携わった一人として、長年の課題である長距離打者の育成に明るい兆しが見え始めたことは嬉しい限りです。
プロ野球でもソフトバンクホークスの柳田選手や日本ハムの中田選手、それから西武ライオンズの森選手に代表されるように日本人打者でも思い切ってバットを振る選手が多くなってきました。一時期のイチロー型の打ち方も減少してきました。これも時代の流れなのでしょうか……。
我々アマチュア指導者が「しっかリ振り切らないと力強い打球が飛ばない」と声をあげても、なかなか現場まで届かなかったのが、それに類似したプロ野球選手が活躍し出すと簡単に浸透していきます。そういった意味では、プロ野球選手の責任は重大です。
話は変わりますが、大昔の我々の時代の高校球児は、特に甲子園の初戦は非常に硬くなっていたものです。しかし、最近の高校生は場慣れしている感じを受けます。予選から良い球場で、多くの観客の中で試合をして慣れているためか本当に緊張しているなという場面が少ないのです。
ただ一方で、追い込まれた瞬間に表情や動作が極端に変わる選手が多くなっているように感じます。ある意味、真面目で責任感が強い表れなのでしょうが、開き直りと気持ちの切り替えが上手くないなのかとも見受けられます。特に投手において、動揺している表情が画面を見てもすぐに分かる選手は多いですね。