岩隈久志のノーノー投球を分析 日本人歴代達成者との比較で見えてくるもの
野手にも栄誉が与えられるべき?
過去の達成時の数字からは、奪三振やゴロアウトはずば抜けて多いわけではなく、またヒットになる可能性の高い外野フライアウトが明らかに少ないといった様子も見られなかった。
達成時のゴロアウトの数、フライアウトの数を、それぞれゴロとフライの本数として扱いその比率を見ても、50%弱がゴロ、残りがフライとライナーというNPBの平均的な数字とあまり変わらない。(達成時のほうが、フライ、ライナーで外野よりも内野へのものが多いという違いは若干ある)
おそらくノーヒットノーラン達成には、投手の力で押し切ることよりも、バックの守備力や打球の飛んだ位置などの偶然性が大きく影響していると考えたほうがよいのだろう。
投手の記録として扱われるノーヒットノーランだが、ある意味では野手も含めた出場選手全員で達成した記録とも考えられる。野手にもなんらかの栄誉が与えられるべきなのかもしれない。
※NPB平均は奪三振、ゴロアウト、内野フライアウト、外野フライアウトの全アウトに占める割合を9イニング換算して算出したもの。前半戦終了時点の数字。
【了】
DELTA●文 text by DELTA
DELTA プロフィール
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2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp