【高校野球】ただの控えと侮るなかれ 今夏の甲子園も証明、ランナーコーチャーの重要性
「監督の代行」とも呼ばれるランナーコーチャー
ランナーコーチャーの仕事は野球を広い目で見ることができないと務まらない。チームによっては「監督の代行」とも呼ばれる。監督の考えを理解した上で、選手に指示を与えるポジションだからだ。監督から直接指名される選手もいれば、重要な局面によってはランナーコーチャーを代える学校もある。野球は9人だけでやっていないことが分かる。
試合が始まる前から戦いは始まっている。たとえばシートノック。外野手の本塁への送球が少しでもそれれば、生還する確率は上がるため、肩の強さやコントロールはもちろんチェックする。
さらに、野手は落下点に直線距離で入るのか、そうではなく送球のことを考えて、間合いを取り、少し後ろから入っているのか、試合に緊張しているのか、何年生なのか、クッションボールの処理はうまいか、ベースカバーを全力でやっているか……。投手のクセを盗むのが得意な選手ならば、試合中にフォームやグラブの使い方で球種やけん制の有無を見分けることができる。二塁に走者がいる時は、二遊間の選手がどういう呼吸でけん制のベースカバーに入っているのか。チェックポイントは多々ある。
今は高校生であっても、野球のレベルが高くなるに連れて緻密さも求められる。ランナーコーチャーも、誰もができるポジションではない。監督や仲間の信頼を得るための高い技術が必要だ。甲子園で勝つチームには必ず能力の高いランナーコーチャーがいる――。まさに今夏の戦いが証明した。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count