「1日1日、自分ができることを精いっぱい」 小笠原道大が巨人に残したもの
「アーリー・ワーク」は巨人の日常に
ティーバッティングでも、1キロのバットに1キロの重りをつけ、片手で1球1球、ボールを面に合わせて、スイングする。真似した若手が5球でギブアップしたこともあった。同じ練習をひたすら繰り返す。「1日1日、自分ができることを精いっぱいやるだけですから」と弱音などは漏らさずに反復練習をしてきた。
一時低迷していた巨人を救ったのは、2007年から加入した小笠原、谷佳知や、イ・スンヨプ、アレックス・ラミレスらだと言われる。彼らの高いプロ意識が新時代を担う選手たちの意識を変えた。全体練習よりも早い時間帯に個人トレーニングを開始する小笠原の「アーリー・ワーク」は少しずつチームに浸透。小笠原が残したもののひとつである。
チームで決められたメニューだけでなく、自分のやりたいトレーニングを「アーリー・ワーク」で行ってから全体練習に入るという流れ。07年以降に入ってきた選手たちにとっては、入団時からそのシステムが成り立っていたため、「アーリー・ワーク」はもはや日常の光景になった。選手の意識が変わる、とても大きなきっかけを与えた。
今、1軍にいる選手のほとんどが小笠原の影響を多く受けた者たち。そんな感謝の思いを持って、挨拶にいき、最後の勇姿を見届けていた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count