捨て切れなかったフルスイング 小笠原道大が崩さなかったスタイル

晩年に苦しんだ打撃、それでも貫いた自身の美学

 振り切った後にヘルメットが飛ぶのが慣例だった。現役引退を決めた小笠原道大内野手は日本ハム、巨人、中日と渡り、2120本の安打、378本塁打を放った。現役最後の打席はレフトフライ。引退試合を終え「理想はライトスタンドだったのですが、しっかりととらえられたんですけども……」。巨人・亀井の好捕に長打は阻まれたものの、41歳のベテランはしっかりと振り切り、逆方向へ力のある打球を飛ばした。

 最近はバッティングで苦しんでいた。飛ばないボールと言われた統一球が導入された2011年から打撃が急降下した。

 日本ハムでレギュラーに定着した1999年、156安打を打って以降では2011年の68安打は自己ワーストとなった。ベンチを温める回数が次第に増えてきた。あらゆるメディアで打撃の衰えを指摘され続ける中、小笠原は苦しんでいた。

 反発係数が変わったボールで多くの打者がもがき、スタイルの変更を余儀なくされた。一方で西武の中村剛也は2010年の25本塁打から48本に増加。ボールを手元にゆっくりと引き寄せて、インパクトの瞬間だけに力を入れて、真芯でとらえる。パワーと技術の両方が備わっていないと打球は遠くに飛ばない、一つの証明でもあった。

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