コリンズ監督の「我慢」実る 66歳の遅咲き指揮官、プレーオフデビュー

元オリックス監督が自身初のPOへ、野球人として大きく変わった転機とは

 ニューヨークの本拠地シティーフィールドで行われたナショナルズとの今季162試合目を勝利で飾ったメッツ。近年ならメッツ・ファンにとっては、ベースボールシーズンの終わりを意味していたが、今年は違う。「Let’s Beat LA!」。主将のデービッド・ライト内野手が声を張り上げると、満員の観衆はわれんばかりの歓声を上げた。

 我慢した分だけ、喜びは倍増するのだ。そして、66歳で初めてポストシーズンを指揮することになったテリー・コリンズ監督もそのことを深くかみしめているに違いない。

 コリンズはマイナーで監督やコーチなどを務めた後、アストロズとエンゼルスで指揮を執ったが、地区2位が最高だった。いずれの機会もチームはコリンズが退団した後にプレーオフに進出するなど巡り合わせも悪かった。

 その後、ドジャースの育成担当に就任。ドミニカ共和国の教育リーグなどで指導したことで視野が広まったという。同監督は「球団の選手育成のプロセス全体を見ることで理解が深まった。若い選手が成長するためには我慢が必要で、それが自分に足りないものだった。野球人として大きく変わるきっかけになった」と振り返る。

 その後、2007年から2シーズンにわたって日本プロ野球のオリックスで監督を務めた後、2010年からマイナー統括コーディネーターとしてメッツに所属。翌年から監督に就任した。当時はオーナーが180億ドルの金融詐欺にあうなど球団経営が傾いていた時期。もちろんスター選手を獲得する余裕もなく、苦難の時代だった。それでも若手を我慢強く起用すると、今季は投打に若い力が台頭。「(ショートの)フローレスや(センターの)ラガレスを辛抱強く使った。我慢していなかったら、今の成功はない」と胸を張る。

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