V逸の侍J 回またぎ、救援陣の起用法…韓国戦の「継投ミス」を検証する
現在の松井の投球スタイルで 「『左だから』と出されたのはしんどかった」
野口氏は「則本が1番安定していたから、『則本で切り抜けられるだろう』という考えでしょうね」と言う。ただ、現実は慣れないポジションでの起用。結果はついてこなかった。「1次ラウンドで絶対的ストッパーを確立できなかった」ことが、準決勝という大舞台で痛恨の事態を招いてしまったという。
「則本をセットアッパーとして使うと決めたのなら、ちゃんとクローザーとして出す人間を9回に出すべきだったのではないか。松井はチームに戻れば絶対的守護神であっても、代表に来るとまだ最年少なわけで。経験不足ではあるんですよ。なので、あそこを『お前がいけ』っていうのはちょっと酷だったのかな。だから、出すのであれば3点差の(9回)イニング頭だった」
2点リードで迎えた無死満塁のピンチで登板した松井は、わずか5球で押し出し四球を与え、降板となった。
「どういう理由か知らないですけど、スライダーを封印していますよね。そういうピッチングスタイルに変えているにも関わらず、『左だから松井』と出されたのはちょっとしんどかったかな。真っ直ぐ、チェンジアップでいくなら右打者の方が抑えやすいでしょうからね。
松井のチェンジアップだと、ストライク先行で投げたい球種になる。他のピッチャーのフォークのような意味合いですね。特に左対左だと最初からは投げにくいですよね。嶋との間でどういう理由があるのか知りませんけど、スライダーは投げ始めた方がいいんじゃないですかね」
結局、ストレート一本勝負で押し出しという最悪の結果に至った。
さらに、野口氏は代表メンバーの選び方についても疑問を投げかける。
「各チームのクローザーを4人呼んだわけですが、『今日のクローザーは松井、明日のクローザーは増井』という感じに見えたんです。則本みたいな起用法をさせたいなら、JFKの時の久保田(元阪神)のような、しょっちゅう2、3イニング投げているピッチャーを入れておくべきだった。中継ぎというのは専門職なんです」