【小島啓民の目】アマ投手に伝えたい ひと冬越えたときに差が出るオフの取り組みとは?
得意な分野を徹底的に伸ばすことから入る方が早道
最近の投手は、高校生レベルでも、ストレート、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、更にフォークボールなどと多彩な球種を持ち合わせています。毎日の練習での投球数は、概ね80球~100球程度。昔のように200球~300球という数をこなす選手は、「投げすぎは良くない」という医学的見地からも少なくなってきました。
5球種保持している投手が、80球投げるとした場合、1球種に要する球数は16球程度となります。それを内外コースに投げ分けると、1球種約8球、更に高低に投げ分けるとすれば、1球種4球程度となります。例えば、内角高めのストレートの練習にかかる投球数は、1日に約4球となるわけです。
では、たった4球程度で試合に使えるコントロールがつくのか。
何となくコントロールが良くならないことは想像できるかと思います。正しく技術を習得する上では、満遍なく練習を行なわず、得意な分野を徹底的に伸ばすことから入る方が早道であることは間違いありません。
もちろん、苦手な部分に対するアプローチも少しでも行う必要があります。プロ野球の世界では、オフシーズンに1つ球種を増やすなどのことをよくやりますが、中学生や高校生、あるいは大学生レベルでは、まずは得意な球、すなわち困った場面(例えば、同点の9回2死満塁フルカウント)で、自分が何を投げるのかを決めておき、その球の精度を徹底的に上げることに終始するのがよいでしょう。
スピードガンが普及し、誰もが「速い」の定義をスピード表示で行うようになりましたが、「この投手は速い」と打者が感じるのは、決してスピード表示とリンクしているわけではありません。130km程度のスピードでも「速いな」と感じるケースはたくさんあります。このように投手は、いかに打者のタイミングを崩して、打者に思い通りにバットを振らせないかを考えるべきです。