過去にいくつものドラマ 語り継がれる代打の形

ファンの脳裏に深く刻まれた劇的代打弾

○代打・オレ

 2006年、ヤクルトの選手兼任監督だった古田敦也氏。代打など選手交代をする際は、監督が主審に交代を伝えなくてはならない。古田氏はヘルメットをかぶり、打撃グローブをつけ、バットを持って出てくると、自分を指さし、審判に「代打・オレ」と告げる。兼任監督にしかできないコールの仕方だった。12試合、代打で登場することがあった。12打数3安打、打率.250だった。

 監督としてミーティングや戦略を練る時間も必要で、思うように練習や体のケアもできなかったシーズン。それでも言い訳はせずに選手として監督して、シーズンを全うした。ヤクルトの黄金期を支えた捕手の栄光は色あせることはない。

○代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打

 これ以上の劇的な代打弾はないだろう。2001年のパ・リーグ。梨田監督(現楽天監督)率いる「いてまえ打線」の近鉄はその前年に最下位に沈みながらも見事巻き返して優勝を飾った。その決め方がド派手だった。

 9月26日のオリックス戦。2-5と3点を追う9回裏、近鉄は無死満塁のチャンスを迎えた。9番・古久保健二捕手の打順で、代打・北川博敏捕手が送られた。この年、勝負強さを見せてきた北川。数日前にも松坂大輔(西武)から代打ホームランを放っていた。北川はなんとここでも優勝を決める逆転サヨナラ満塁ホームラン。スタンドインを確信すると全身でガッツポーズ。近鉄ナインは誰彼構わず抱き合った。現在は球団合併により、球団は消滅してしまったが、近鉄ファンには深く心に刻まれている。

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