助っ人たちが日本プロ野球に帰ってくる理由 限られたイスを巡る戦い
「お金を稼ぐ」場として選択肢の一つとなってきている韓国
舞台を日本に移し、プロ野球で数年活躍をしたとしよう。それでも再びメジャーリーグに戻るには年齢が高すぎる場合が多い。すでに日本にやってくるときは30歳手前。そして日本で数年活躍をしても、米国に戻るのが30歳半ばに迫ってくるとメジャー球団も複数年契約を保証しにくい。
一度はメジャーリーグの舞台で烙印を押された選手たちだ。弱点だった部分を日本で改善することが出来て、チームも即戦力として考えることが出来る場合のみメジャー契約に至るだろう。
だがこれまでの例を見ても、日本へやってきた選手の数を考えると再びメジャーの舞台に戻り定着した選手はさほど多くない。私もこれまで日本でのプレーを経て、米国に戻った選手と多く一緒になったことがある。そして彼らの多くが口を揃えて言うのは、「日本は良かった。また機会があれば戻りたい」という言葉だった。そう話す選手の多くは米国に戻ったものの、マイナーリーグで燻っている現状だった。
そう考えると日本国内でより良い環境を目指してチームを移るほうが富、安定を目指す外国人選手にとっては理想的ではないだろうか。
そして球団側にとっても、日本を経験した外国人選手を再び獲得する利点はある。外国人枠は各球団とも1軍では4枠しか設けられておらず、チームに足りない要素を外国人選手で補おうとする場合が多い。そのため長打力のある選手、速球派のリリーフ投手、そして球数少なく試合を組み立てることが出来る先発投手を獲得するチームが多いように感じる。
各チームこの「助っ人」と呼ばれる存在でライバル球団に差をつけようと年中スカウトが各地を巡っている。だが実際のところ獲得への条件をクリアして、日本で戦力になれる選手には限りがある。メジャーリーグは30球団あり、それぞれがマイナーリーグの下部組織を持ち、さらには独立リーグがある。メジャーリーグ昇格に向けて少しでもチャンスがあると感じる選手であれば、環境を大きく変えて日本に行こうというのは妻・子がいれば尚更難しくなる。
そして今ではマイナーリーガーにとっては「お金を稼ぐ」場として韓国も選択肢の一つとなってきている。他のアジア諸国でもプロリーグが発展していけば、お金を稼ぐことを目的とする選手たちの行き先は日本だけではなくなってしまう。
外国人選手の候補が減っていく一方で日本球団にとっても別球団に在籍していた選手を獲得することにはメリットがあるだろう。人間誰しも他国で仕事をするのは、イメージが湧かない要素が多い。グラウンド上の野球の部分だけならまだしも生活面、食事面、コミュニケーション面など色んな壁にぶち当たる可能性がある。