異色経歴持つ指揮官が感じた小さな成長 強豪へ一歩近づいた春

五輪コーチ、プロスカウトなどを務めた千葉黎明・荒井監督

 終わってみればスコアは1-8の完敗だった。春季関東大会の準々決勝まで進んだ千葉黎明高校は、強豪・横浜高校に敗れた。エースの川口廉投手(3年)が初回に2点を失ったが、2回以降は7回まで失点を許さず。相手先発の横浜・藤平尚真と投げ合いを演じた。しかし、8回に崩れて、失点すると、後続の投手も打たれて、6失点。8回コールド負けとなった。

 ただスコア以上の力の差はなかったといっていい。

 川口は初回からコントロールが定まらず、甘く入ったストレートを打たれた。しかし、緩急を使って立て直し、強力打線に追加点をなかなか与えなかった。これまでなら、力勝負に急ぎ、がむしゃらに投げていたところ。敗れはしたが、大人の投球への階段を上った印象を残した。投手力だけではない。150キロ近いボールを投げる藤平に対し、得点は1点しか奪えなかったが、力強く打ち返す場面も見られた。

 千葉を2位で勝ち抜き、県外の戦いで8強に進出。弱小野球部だったチームが、五輪コーチや明大野球部監督、DeNA、オリックスのスカウトを経て、異例の高校野球監督就任となった荒井信久監督の手腕により、チームは変革の時を迎えているのは間違いない。

 練習では打撃マシンを140キロ以上に設定し、打ち込んできた。状況によってバッターはノーステップにして、速い球に対応。練習に工夫を取り入れて好投手が出てきても打ち負けないスイングを身につけてきた。逆方向へしっかりと打つ意識も選手たちは植え付けられている。高いレベルを知る指揮官が徹底した細かい野球。それが浸透しつつあるから、チームは途中まで強豪相手に接戦を演じられたのだろう。

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