歴代4位の146死球は勲章 ロッテ井口はなぜ痛さを表情に出さないのか
チームメートの鈴木が受けた衝撃、「プロ野球選手とはこうあるべきなのだなあと感じた」
打席は、相手投手との読み合いでもある。だから、死球を受けた後に、腰を引くわけにはいかない。そんな時にこそ、グッと踏み込んで打ち返す。もうインコースはないと決め、狙い打ちをすることもある。痛いという感情より先に、次にいかに打つかに頭を巡らせる背番号「6」の姿はプロフェッショナルそのものだ。
ちなみに146個の死球を受けた井口がそれを理由に戦線離脱をしたのは一度だけ。09年の西武戦で左手首に受けた際。ただ、その時も「出来ない痛みではない」とプレーを続け、あまりにも腫れが引かなかったため、1週間後に再検査を受け、骨折が判明。患部を6週間ほど固定し、リハビリ生活を余儀なくされた。
「あの時は、なかなか痛みが引かなくて、バットも握れない感じになった。そこまでいくともう仕方がないけどこの世界では少々の痛みは誰だって、いつだってある。その中でいかにベストなプレーが出来るか。プロ野球でプレーをしている限り、なにかしらの痛みとは付き合いながら、闘っていかないといけない」
時には痛みをこらえ、立ち上がる。あえて敵に弱みを見せないため、涼しい顔を見せる。その背中を若手の多いマリーンズの選手たちも見ている。だから弱い姿勢は絶対に見せまいと決めている。
キャプテンの鈴木大地内野手は言う。
「井口さんの存在は大きいです。デッドボールが当たっても、平気な顔で一塁に行く。ああ、大丈夫なんだなあとこちらも思ってしまっているのですが、ロッカーで見たら体のアザが凄くて、衝撃を受けました。プロ野球選手とはこうあるべきなのだなあと感じた。こういう姿勢を見習いたいですね」
ロッテ・井口資仁【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】