なぜ甲子園で「台湾デー」? 台湾人選手のいない阪神が開催した理由
「確実に増える」甲子園への来場者、「より多くの台湾の方に球場に来ていただきたい」
近年、日本球界と台湾球界のつながりはさらに強くなっている。多くの球団に台湾人選手が所属し、チーム内での存在感も増してきた。以前から熱狂的だった台湾におけるNPB人気もさらに上昇。現地ファンからの注目度も今まで以上に高まってきている。
6月15日には、阪神甲子園球場で「台湾デー」が行われた。郭俊麟投手、C.C.リー投手が所属する西武ライオンズでは4月に行われたが、台湾人選手のいない阪神タイガースで、なぜ「台湾デー」が行われることになったのだろうか。阪神甲子園球場球場長代理の向井格郎さんに話を聞いた。
――なぜ「台湾デー」を行うことになったのですか?
「日本統治時代の台湾から、1931年に甲子園に初出場し準優勝した『嘉義農林学校野球部』の実話を基にした映画『KANO』が2014年に台湾で公開され、大ヒットしました。それをきっかけに、阪神甲子園球場に足を運ぶ台湾人の方が増え『甲子園歴史館』には、2014年に1万4000人、2015年は1万5000人もの方が台湾から来場されました。2014年以前は数千人でしたので、映画の影響で阪神甲子園球場が広く知られるようになったのだと思います。このような経緯を踏まえ、より多くの台湾の方に球場に来ていただきたいと『台湾デー』を開催することになりました」
――阪神甲子園球場で野球観戦をする台湾人の方も増えているのでしょうか?
「入場者の実数を調べることはできませんが、日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語で用意している球場案内のパンフレットの減り方が、中国語が一番多いので、確実に増えていると思います。昨年から、台湾の中学・高校の修学旅行生が阪神甲子園球場へ野球観戦に訪れています。台湾の学校が修学旅行で阪神甲子園球場を訪れたのは、昨年が初めてです。今年度は既に修学旅行で台湾から8団体が訪れています。やはり映画の影響が大きいと思います」
――台湾人選手は所属していませんが、台湾人の方に阪神タイガース・阪神甲子園球場は知られていますか?
「2013年まで阪神タイガースに所属した林威助選手は、現在、台湾のプロ野球チーム中信兄弟でプレーしており、台湾でも人気です。また『嘉義農林学校野球部』で甲子園に出場した呉昌征さんは、その後、読売ジャイアンツ、阪神タイガースでプレーしているので、台湾でも阪神タイガースはよく知られています。実際に旅行博に出展した際にチラシを配ると、甲子園のフレーズを見て手に取って下さる方は非常に多いです」