ロッテのレジェンド、「オレたちの福浦」が歩んできた果てしなき道のり

誰よりもマリンを知り、マリンから愛される男

 その名前がコールされると、大きな声援が沸き起こった。前半戦最終戦となった7月13日の福岡ソフトバンクホークス戦。1軍昇格したばかりの福浦和也内野手が代打で登場し、今季初めて1軍の打席に立った。

 8回2死一塁。ホークス先発の千賀投手のストレートをはじき返した打球は中飛に終わったが、スタンドからは拍手が沸き起こった。「オレたちの福浦」と誰よりもファンから愛される男の新たな一歩が始まった。

 そして、この試合出場は記念すべき、本拠地QVCマリンフィールドでの通算1000試合出場となった。歴代の名選手たちでは、堀幸一現1軍打撃コーチが863試合出場。初芝清氏が669試合出場。現役ではサブロー外野手が843試合出場。誰よりもマリンを知り、マリンから愛される男の証となる数字だ。

「それは知らなかったなあ。そんなになるのかあ。これだけ、やっていると、そうなるよね」

 すべてのスタートとなったマリンでの初出場は1997年7月5日のオリックス戦。1996年6月に立川隆史外野手(現解説者)、1997年6月に大塚明外野手(現2軍外野・守備走塁コーチ)と次々と同じ年で同期入団の選手が1軍に呼ばれ、プロ初ヒットを打つなど結果を出していく中でようやく巡ってきたチャンスだった。

 何かあるたびに、「1軍は凄いぞ」と2人から話を聞き、刺激を受けていた。「次はオレが……」との思いを強くした。しかし、駆り立てられる思いがあっても、1軍首脳から声がかからないと始まらない。必死にバットを振り、いつ呼ばれてもいいようにと準備を繰り返す我慢の日々を過ごした。

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