【高校野球】各地で1年生が大活躍 その背景にあるものは?

レギュラー1年生のハツラツプレーを支える懐深い上級生の存在

 西東京で4強に進出した創価高校は9人のスタメンのうち、1年生が4人いた。浪川広之外野手は3番に座り、準々決勝では決勝の本塁打を右翼席へ放った。惜しくも甲子園には届かなかったが、新しいチームで早くも来年に向けて一歩を踏み出している。「先輩たちが本当に優しい人ばかりで助けてもらいました」と振り返る浪川には、同じ外野手でレギュラーを譲った先輩たちが、守備のことを惜しげもなく助言していた。上級生の理解があり、チームが一丸になったことで、さらに選手として力をつけた。

 昨夏の甲子園で大暴れした早稲田実・清宮幸太郎内野手がそうだったように、1年生の野村も清宮をはじめ、主将の金子らにアドバイスをもらい、思いきってプレーした。相手投手のタイプを理解した清宮から、アドバイスを送られることもあった。リーダーシップの取れる金子から、打席に入る前に「俺たちがついているからつないでくれ」と言われ、闘争本能に火がついた試合もある。チーム全体で1年生を誰一人として孤独にはさせなかった。長い歴史の中で1年生を抜擢することが多い早稲田実にあって、実力を遺憾なく発揮できる方法は、下級生がやりやすい環境をつくっているからと言えるだろう。

 彼ら1年生が、地方大会でレギュラーとして戦えた背景には、3年生ら上級生の日頃からの支えがあった。理不尽な上下関係の時代は終焉を迎え、新しい時代に差し掛かっている。1年生たちが感謝の気持ちを強く感じているからこそ、敗戦すると悔しさがこみ上げるのだろう。引退する3年生よりも下級生の方が号泣しているシーンが多い。彼らルーキーのこれからの活躍が、支えてくれてきた先輩たちへの恩返しとなる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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