12球団最少4人指名も満点ドラフトのSB、王会長も笑顔「思い通り過ぎて…」
手薄な左腕、高齢化の捕手、松田の後継者探し…V奪還に必要なもの
2位指名の江陵高・古谷優人投手は最速154キロを誇る将来性豊かな左腕。ソフトバンクにとって左腕は近年の補強ポイントの1つだった。
今季のローテを担った左腕は35歳の和田1人。中継ぎを務めた飯田優也の他、実績ある大隣やウエスタン・リーグ最多勝の9勝を挙げた笠原大芽や山田大樹がファームにもいるが、千賀、武田のローテ投手に加えて松本、高橋と層の厚い右投手に比べ、3年後、5年後を見据えた時に手薄なのは間違いない。1位指名で消えていてもおかしくないほどの素材を、2位で指名出来たことは、ソフトバンクにとって幸運だった。
そして、3位指名は秀学館高の九鬼隆平捕手。高校日本代表でも正捕手を務めた将来性ある若者だ。今季、主にマスクをかぶったのは36歳の細川亨、35歳の鶴岡慎也、34歳の高谷裕亮の3人。向こう10年、15年間、マスクを任せられる捕手が育っていない現状がある。
23歳の拓也と斐紹が伸び悩み、2年目の栗原もケガがち。他にも谷川原健太、今季途中に支配下登録された張本優大といるが、捕手は育成が難しいとされるポジションだけに、編成上の人数バランスを考えても、未来の正捕手候補という点で考えても、補強しておきたいポジションだった。
最後は、身長185センチの大型遊撃手、青森山田高の三森大貴を4位で指名。ソフトバンクの遊撃手といえば、球界No.1の守備力を誇る25歳の今宮健太だ。打力に物足りなさは残るが、その守備力は打力を補って余りあるだけに遊撃手の座は不動。むしろ必要なのは、33歳となった三塁手・松田宣浩の後継者だろう。
今季も27本塁打を放つなどチームの象徴的存在だが、その後継者がまだ育っていない。ウエスタン・リーグの最多安打記録を更新した塚田正義がいるが、27歳と決して若くない。若手内野手に目を広げても、高田知季、牧原大成といった俊足巧打タイプが多いため、三森は松田のような中長距離砲の内野手として育てたいところだ。
12球団で最も少ない4人の指名ながら、ポイントポイントをしっかりと押さえた今季ドラフト。即戦力あり、将来性あり。左右の投手に、捕手、内野手と、まんべんなく指名。来季のV奪還に向け、幸先のいいドラフトになったと言えるだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count