敵地で優勝決定の日米最終戦 ビジター盛り上げる演出でアドバンテージ失うことも?
皮肉にも敵地で優勝が決まった日米の最終決戦
最後に、スタジアムを盛り上げるためには欠かせない存在であるマスコットの交流はこの試合でも多く見られた。メインスポンサーである三井住友銀行のマスコット“ミドすけ”も加わって、カープのスラィリーとファイターズのB・Bが外野スタンドのファンを試合前やイニング間も大いに盛り上げていた。一方、今回のワールドシリーズでは、一部で論争を巻き起こしているクリーブランド・インディアンスのマスコットキャラクター「Chief Wahoo(ワフー酋長)」が、違った意味でワールドシリーズに新たな話題を提供することとなってしまった。
さらに、今回のワールドシリーズでは普段でもチケットが入手しにくいシカゴ・カブスが進出したため、シカゴ在住であっても6時間運転してクリーブランドで観戦するほうが安いのではないかと言われる対決であった。現にクリーブランドでも多くのカブスファンの姿が球場内では見られ、日本の球場ではあまり見られない、内野席でも両軍のユニホームが入り混じった光景だった。ホームチームとしては、日本のようなビジターパフォーマンスシートを設けないことによってアドバンテージを失いかねない状況となる。
日本シリーズは最終戦こそビジターのファイターズが広島の地で優勝を決めたが、最初の5戦はホームチームが全て勝利を果たす“内弁慶シリーズ”とも言われていた。皮肉にも、日米両方のシリーズではビジターチームが敵地で優勝を決めるという展開で幕を閉じた。
クリーブランドに多く乗り込んだカブスファン、そして広島でも一体感を見せたファイターズファン。完全アウェーの雰囲気の中、チームの勝利のために声を枯らした人たちの声援が届いた結果となった。
国内最高のチームを決める戦いでは、ホーム側としては少しでもアドバンテージを作りたいというのが本音であるかもしれないが、マスコットやグルメなど色んな形でビジター側を盛り上げる演出や企画もシリーズを成功させるには不可欠である。今後も各スタジアムがビジター側をどのように迎え入れるかという点にも注目していきたい。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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新川諒●文