斎藤隆氏が分析する大谷“進化の歴史”「大谷とチャプマンしか知らない世界」
メジャーで実績誇る斎藤氏が映像を見て分析、2015年は「すごい、もうそれだけ」
リアル二刀流、日本最速165キロ、球宴の本塁打競争優勝など、2016年のプロ野球界の話題を独り占めにした日本ハム大谷翔平投手。プロ4年目を終えたばかり。まだまだ成長過程にある22歳だが、投手としても打者としても類い稀なる資質を光らせる姿に、早くもメジャー球団が熱視線を浴びせている。
入団当初から他を圧倒する才覚を見せたが、プロ生活4年を経て押しも押されもせぬ存在となった大谷について、日米球界で活躍した斎藤隆氏は「日本じゃない、もう世界のレベル」と大絶賛する。22歳“二刀流”の未来について「楽しみしかない」という斎藤氏に昨年末、デビューした2013年から2016年まで大谷が速球を投げる姿を集めた映像を見ながら、その変遷について分析してもらった。
まずは、鳴り物入りで入団した2013年の映像だ。マウンド上の大谷はまだ身体の線が細いが、投げる球はコンスタントに150キロ台後半を記録。映像を見つめる斎藤氏は「投げる力は持っているけど、それを止める力を持っていないね」と切り出した。
「厳密には、投げる筋肉、パワーを出力する筋肉は持っているけど、それを止める筋力がないですね。止める筋力っていうのは、普通は肩の筋肉か背筋になるけど、そこがまだ弱いのかな。投げた後に顔が大きくぶれるのは、そのため。次の年あたりに落ち着くんじゃないかと思います」
その言葉どおり、映像が2014年に切り替わると、顔や頭のぶれが少なくなった。
「大分落ち着いたけど、序盤はエネルギーを出力している方向が安定していないから、制球がばらつくことが多い。ばらつきはあるけど、シーズンが進むにつれて、力の発揮の仕方やタイミングを覚えてきましたね」
そして迎えた2015年。大谷は15勝5敗、防御率2.24という素晴らしい成績を残した。
「15年はすごい! まずボールに対する指の掛かりがすごい。体重移動がしっかりできて、ボールがクッと指先に掛かりだしました。それまでは、まだ滑っているというか、ボールを押し出している感じがあるけど、この年はしっかり指に掛かっています。
両足を踏ん張った力が地面から伝わって、体幹、関節、靱帯、そういった必要なパーツを通って指に伝わる。そのパーツの動きが完全に一致していますね。自分の持っている筋力や能力をすべてコーディネートできるようになっている。打者は速球を投げることは分かっていても、反応できなかったんじゃないかと思います。15年はすごい。もうそれだけ(笑)」