斎藤隆氏が分析する大谷“進化の歴史”「大谷とチャプマンしか知らない世界」
筋力アップで臨んだ2016年は「自分の身体やパワーを持て余している感じ」
大絶賛の2015年大谷だが、オフのトレーニングで進化した身体で臨んだ2016年は少し勝手が違ったようだ。
「16年は力をグッと溜めることを意識したのかな。特に前半は自分の身体やパワーを持て余している感じはします。15年の方が全体の身体の使い方がうまく見えますね。まだ新しい体格になった自分自身をうまくコーディネートできていない気がします。
投げる時にフォームに力が入ると、バッターには分かるんですよ。160キロの球を投げるのはすごいことだけど、バッターには投球フォームっていう情報がある。フォームにどこか力みがあると、打者はタイミングを取れるんですよね。プロの打者は、ピッチャーが見せるわずかな違いや変化に気付き、対応できる天才ばかり。ピッチャーは、いかにそういった情報を与えないようにするかが大切になってきます。
おそらく16年の大谷君は、自分が思っている結果にならない球が多かったんじゃないかな。打者を仕留めきれなかったことが。このオフも筋力トレーニングをやっているみたいだから、その身体でのフォームが整うまで2、3年は掛かるかもしれません。もっとコントロールできる、もっとピッチングができる、そういうイメージを持ってマウンドに上がるんだけど、なかなか思い通りになっていない感じがしますね」
斎藤氏の目には試行錯誤を繰り返しているように見えた2016年でも、日本人最速165キロを計時したり、防御率1.86という成績で打者を圧倒した感は強い。2017年、さらに筋力アップした身体で、2015年のように全身をコーディネートした投球ができるようになったら、一体どうなるのだろう。
「160キロで投げても、静かに流れるような投球で、すごく見えなくなると思います。タイプは違うけど、シャーザーやカーショーみたいな感じ。彼らがすごいのは、打者が動かないこと。多分、2017年は打者が手も足も出ない仕草をするシーンが増えるんじゃないかな」