斎藤隆氏が分析する大谷“進化の歴史”「大谷とチャプマンしか知らない世界」
斎藤氏にとって高かった160キロの壁「大谷翔平とチャプマンしか知り得ない世界に行っている」
日本ではすでに突出した存在となった大谷が持つ才能は、誰もが疑う余地はない。比較対象を世界に広げてみても、投手・大谷の才能はトップレベルにありそうだ。
「スピードに関して言えば、大谷翔平とチャプマンしか知り得ない世界に行ってますからね。運動能力を見ても、この2人は群を抜いている。あの背の高さで、あの手足の長さで、あの理想的なフォームで投げるのは素晴らしい。長身のピッチャーって、どこかクセのあるフォームになりがちなんですよ。でも、彼は教科書通りですよね。
彼は160キロ台の世界から170キロへ行こうとしている。僕も160キロ投げていれば、もう少し何か言えるんだけど、159キロで止まっちゃったから(笑)。160キロの壁は越えられなかったなぁ。
大学2年で初めてピッチャーを始めた時、スピードガンで計ってもらったら134、5キロくらいだった。それでも速いって言われたんだけど、140キロを超えるのに1年掛かりました。139キロまではツツッと上がるのに、140キロの壁はすごい。今度プロに入って迎えた150キロの壁はとてつもなく高かったんです。そう考えても、165キロの世界は大谷君とチャップマンしか知り得ないでしょうね」
まだ22歳。これから先、一回りも二回りも選手として成長を遂げていくであろう大谷の未来を考えると「そこには楽しみしかない」と断言する。近い将来にメジャー移籍の意向も示しているが、その時は投手・大谷になるのか、打者・大谷になるのか、あるいは二刀流のままなのか、興味は尽きない。
「僕は彼を長く見ていたいから、本当はどちらかにしてほしいんだけど、去年のアリゾナキャンプ中にパドレス関係者は『両方でいける』って言ってましたよ。どちらも素晴らしいから、どちらかを消す必要はないって。それを2016シーズンで実証する形になったし、アメリカでは同じく二刀流だった“ベーブ・ルース”の名前まで引き出した。この流れは止められそうにないでしょう。
彼のような投手、打者、どちらでも秀でている能力を見ていられる今の野球ファンは、いや僕も含めて、いい時代にいますよ。それくらいの選手です」
2017年、大谷翔平がどんな進化を遂げるのか、楽しみだ。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count