「ピタゴラス勝率」って何? 指標で見る直近5年のパ・リーグ6球団の成績は

勝利と「ピタゴラス勝率」の差が最も大きかったのは1999年のダイエー

 興味深いのは、昨年の福岡ソフトバンクだけではなく、2014年のオリックス、2013年の福岡ソフトバンクもピタゴラス勝率でリーグ1位をマークしながら優勝を逃している点だ。勝率とピタゴラス勝率の差が激しいチームは、一般的には先に述べたように僅差の試合で極端な結果が出ていたか、ちょっとした運などの要素に大きな影響を受けたものとされている。

 過去のパ・リーグの優勝チームで両方の数値の差が最も大きかったのは1999年の福岡ダイエーで、勝率.591に対してピタゴラス勝率は.509だった。これはつまり、得点を生み出す力と失点を防ぐ力の観点からは勝率.509しか見込めないチームであったにもかかわらず、実際にはそれを大きく上回る.591を記録できたことを意味している。この年の福岡ダイエーは、打線がリーグ4位のチーム打率.257、同3位の140本塁打で、投手陣全体もリーグ4位の防御率3.65でしかなかった。にもかかわらずリーグ優勝を達成できたのは、1点差の試合に27勝14敗と強さを発揮していたことが大きな要因だったのだと思われる。

 ピタゴラス勝率からは、そのチームの戦力に問題があるのか、それ以外にも問題があるのかなどを推し量ることができる。ただ、野球は生き物だ。打つ、走る、守る、投げるはもちろん重要な要素だが、他の何が作用して最終的な勝率が決まってくるのか。それを見極めるのも、プロ野球の醍醐味だろう。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

「パ・リーグ インサイト」藤原彬●文

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