選手個人のためだけではない!? 米球界で多様化する「インセンティブ」の形

前田と同い年の左腕の基本給が高かった理由は?

 つい先日、シカゴ・カブスと合意に至ったブレット・アンダーソン投手の契約がその例として挙げられる。2009年に21歳という年齢で11勝をマークし、将来を嘱望された左腕はその後、怪我との戦いを続けてきた。それでも、2015年にはロサンゼルス・ドジャースでキャリア2度目となる2桁勝利(10勝9敗)、防御率3.69を記録。だが、翌年の2016年シーズンはメジャーではたったの4登板に終わってしまった。

 そして、復帰を目指すアンダーソン投手が結んだのは、1年約4億200万円(350万ドル)の契約。先発登板数を重ねていけば、最大約7億4650万円(650万ドル)のインセンティブが追加され、最大約11億4860万円(1000万ドル)を得ることとなる。

 契約を結んだ年に1年のズレがあるものの、昨年4登板に終わった投手が、メジャー契約を結ぶ前の年に日本で沢村賞を取った前田より高額な基本給を得ることができたのはなぜか。それは、アンダーソンに未知なる部分が少なく、過去の実績(2度の2桁勝利)に対して契約が与えられたのだろう。アンダーソンと前田は左投げ・右投げなど特徴に違いはあるため単純に比較はできないが、共に1988年生まれの28歳だ。

 日本でも契約更改では外国人選手、そしてチームの中心選手に対しては出来高が契約に組み込まれている場合が多くある。“未知”の存在に対してのリスク軽減、そして中心選手への基本給を下げるという意味合いがあるだろうが、限られた資金の中でのやりくりという見方もできる。

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