選手個人のためだけではない!? 米球界で多様化する「インセンティブ」の形

エンカルナシオンの契約に盛り込まれた“珍インセンティブ”

 そのかわりに、日本では、契約更改というフロントと直接コミュニケーションが取れる場で、中心選手が金銭面以外のインセンティブを要求したことが報じられることも多い。このオフも福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手がスタッフの待遇面の改善を要求した。

 そして、今オフにはさらにユニークなインセンティブを含む契約が結ばれた。昨シーズンまでトロント・ブルージェイズの中心打者としてチームを引っ張ってきたエドウィン・エンカルナシオンが結んだ契約には、観客動員数が増えると発生するインセンティブが含まれた。

 新たな本拠地となるクリーブランドは昨シーズンワールドシリーズ進出という快進撃を見せたものの、レギュラーシーズン中の観客動員はメジャー30球団中28位の約159万人に留まった。今回のエンカルナシオンの契約に含まれたインセンティブでは、ホームの観客動員が200万人に達することができれば、100万ドル(約1億2000万円)が追加される形となっている。

 インセンティブ条項が細かく発表されることで、応援する側も選手の評価に直接的に貢献することができる。エンカルナシオンがチームを引っ張り、盛り上がりを生み出せれば、ファンにも彼を目に見える形で応援しようという気持ちが生まれるはずだ。今後、日本でもパフォーマンス面に限らず、グッズの売り上げなどのインセンティブ条項を公表するという流れになっても不思議ではないだろう。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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