高校代表コーチ陣は2年連続で同じ顔触れ 異例の布陣でW杯に挑む理由
監督とコーチの信頼深めた印象的な出来事
履正社・寺島成輝(ヤクルト)や横浜・藤平尚真(楽天)、作新学院・今井達也(西武)、花咲徳栄・高橋昂也(広島)、広島新庄・堀瑞輝(日本ハム)ら投手陣の状態を見極め、起用したのが東コーチだった。「自分は何もしていない」と多くを語らないが、偵察部隊が多く来ていると判断し、外のグラウンドのブルペンで調整させなかったり、格下相手への調整登板をさせなかったりと細かな配慮をしていた。野手を担当した米澤コーチは三塁コーチャーを務め、相手投手のクセを研究。対戦相手の過去の代表戦の成績なども細かくチェックした。打撃の指示だけでなく、守備隊形の指示も徹底。小枝監督は大会後に「コーチやスタッフのおかげで優勝ができた」と頭を下げるほど、信頼をしていた。
監督とコーチの間で印象的な出来事があった。
ある試合の偵察に小枝監督が行こうとした時、同じように球場へ出かけようとしていた東、米澤両コーチと宿舎でバッタリと会った。するとコーチは「監督、休んでいてください。僕らが行ってきます」と言った。お互いが尊重し合い、小枝監督は試合をテレビ観戦することにした。小枝監督は「2人が戻ってきたら、色々な特徴を出し合った。僕の思っていたことが、彼らの報告と同じだった。みんなそれぞれが意見を言い合ったし、その判断は間違いないなと思いました」と信頼が厚くなった。
ベンチの中でも同じだった。ある試合で1死二、三塁のピンチを迎えた。前進守備にするか、後ろの位置にするか判断が迷う展開。そこで米沢コーチが監督に言った。
「後ろでよろしいですか?」
最終的に判断を下すのは監督だ。コーチはその材料をあげる。小枝監督が感銘を受けたのは、その言い方だった。