ソフトBのウエスタン安打記録男、指揮官も表情綻ぶ3安打「いいですねぇ」

ソフトBを強くするアピール合戦、昨季ウエスタン新記録124安打の塚田が3安打

 次々と、日替わりで結果を残す若手に、工藤公康監督の表情が綻んだ。12日に行われた中日とのオープン戦(ヤフオクドーム)。チーム全体で14安打を放ち、11得点。今季のオープン戦で初となる2ケタ得点をマークし、指揮官は「(若手は)試合に対する集中力、なんとかしようという思いがある」とアピールを続ける選手たちに目を細めた。

 上林誠知や牧原大成、育成選手の曽根海成らが結果を出しているオープン戦。この日、もっとも存在感を示したのは、6年目の塚田正義だった。初回。3点を奪い、なおも1死三塁で迎えた第1打席。左腕バルデスから左前へ適時打を放った。3回1死では、ジョーダンから左前安打を放ち、盗塁も決めた。

 7回無死一、二塁での第4打席にも左前安打を放ち、一挙5得点のビックイニングをお膳立てした。左翼から一塁に位置を替えて迎えた8回の守備では、ファールゾーンへのフライに頭から飛び込んでキャッチ。5打数3安打1打点の打撃だけでなく、走守でもアピールに成功し「とにかくどんな形でもいいから結果を出したかった。本当に必死でした」。

 昨季、ウエスタンリーグでリーグ新記録となる124安打を放った塚田。キャンプ中から注目を集めている上林や真砂勇介といった好打者を抑え、ウエスタンリーグの首位打者に輝いている。登録は外野手ながら、この日試合途中から守った一塁手、そして三塁手もこなす。侍ジャパンメンバーの松田宣浩のバックアップ、後継者としても名前が挙がる中距離砲だ。

「塚田? いいですねぇ。イメージは逆方向で、ああいう打撃を続けてくれればいい」という工藤監督。この日は塚田だけでなく、7回無死満塁から、上林が2点適時二塁打、牧原は適時二塁打、斐紹も適時打を放った。「まだシーズンは始まっていない。とにかく生き残らないと」と塚田。この熾烈なアピール合戦が、ソフトバンクを強くする。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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