「日本でプレーできれば最高」 WBCの現実的側面、各国選手の“就活事情”

イスラエル正捕手の契約にはアジア対象の特別条項も

 2007年にタイガースでメジャー初登板して以来、8シーズンで53勝(38敗)を挙げた31歳右腕。2014年を最後にメジャーのマウンドから遠ざかっているが、ストレートを軸にスライダー、チェンジアップで打者のバランスを崩すスタイルで、2桁勝利を3度記録。その片鱗を見せたイスラエル戦の投球は「自分の持てるものをすべて出せたと思う」。充実の笑顔を見せると、「後は運を天に任せるだけ」と力強く話した。

 イスラエルで正捕手を務めるラバンウエーも、アジアでのプレー機会をうかがう1人だ。名門イエール大学出身の29歳は、レッドソックス時代には上原浩治(カブス)や田澤純一(マーリンズ)とバッテリーを組んだ経験を持つ。今季はアスレチックスとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指すが、アスレチックスとの契約には「アジアのプロチームと契約を結ぶ場合には自由契約になれる」という条項が入っているそうだ。

 今大会は2次ラウンド第2戦のオランダ戦まで5戦すべてで先発マスクをかぶっている。打席では打率.467、1本塁打4打点の成績で、三振はわずか「1」。メジャーでは、捕手としてのリード以上に打撃での評価が高く、一塁やDHでの出場も果たしている。3Aでは通算打率.282、34本塁打、160打点の成績だ。英語が公用語ではないアジアでは捕手としてプレーするのは難しいことは十分承知しているが「一塁手、DH、あるいは外野手でもオファーがあれば是非」と話す。中でも「アジアで一番レベルが高い日本でプレーできれば最高」だと言い、イスラエルの決勝ラウンド進出、そして自身の“就活”のためにも、15日日本戦は全力を出し切る意気込みだ。

 この2人に限らず、今季開幕以降、WBCに出場した選手が助っ人として来日する可能性は十分ある。代表ユニフォームを着て戦う夢舞台では、同時に“就活”という切実な現実も進行している。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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