屈指のライバル関係は続く―大阪桐蔭、履正社の”大阪決戦”から見えたもの

結果が出ても、立ち止まらない大阪桐蔭

 大阪桐蔭は全国から有望な選手が集まっている。だが、能力だけでは高校野球は勝負できない。常に探求心を持たせ、選手たちの心をうまく乗せる西谷浩一監督の指導もさることながら、大阪桐蔭の選手たちを見ていると、いつも思うのが意識の高さとストイックさ。この2つが重なった時の大阪桐蔭ほど怖いものはない。

 その典型だったのが12年に春夏連覇したチームだ。藤浪晋太郎(阪神)と森友哉(西武)というドラフト1位バッテリーを擁し、選抜では初戦で大谷翔平(日本ハム)率いる花巻東を下すと、浦和学院、光星学院(現八戸学院光星)などを倒して初の選抜の頂点に輝いた。今春の選抜で正捕手の岩本久重をケガで欠いたように、当時も4番の田端良基が大会中に骨折し、主砲不在という窮地に追い込まれたが、そんなハンデはまったく感じない戦いぶりだった。だが、優勝の余韻に浸る間もなく、選抜の決勝戦の夜にはすでに夏に向けてミーティングをしていた。

 当時のある選手はその理由をこう明かしてくれていた。

「選抜は優勝したとは言っても、ミスが多くて接戦続きで危ない試合ばかりだったので。満足に勝てた試合がなかったので、夏は最後まで勝ち切れる試合をしようと言い合ったんです」

 結果が出ても、決してそこで立ち止まらない。もっと相手を怯ませるほどの試合をしようと、さらに高い意識を持ったナインは、5月末から始まる強化練習でも、これまでにないメニューに取り組む。学校からバスでグラウンドに移動する間、Vジャンやグラコンを重ね着して暑さに耐えるのだ。まるでサウナスーツを着た状態のままグラウンドに到着し、すぐに通常メニューを開始。ポール間の走り込みでも、ナインの掛け声が一層大きかったのを記憶している。“これだけ練習すれば負けない”と、自身を追い込むことで動じないメンタルも鍛えられた。全部員が寮生活のため、外部の雑音はシャットアウトされ野球としか向き合えない。このストイックさが誰にも負けない、いや負けたくないという気持ちを一層強くさせるのだ。

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