2軍落ちしたロッテの“精密機械” 侍ジャパン石川歩の「精度」に明らかな変化

開幕後に目立った球数の多さ、効率の悪さ

 石川は壮行試合も含めて3試合に登板したが、合わせて10回167球10被安打8奪三振2与四球、自責点7、防御率は6.30。特にオランダ戦では、持ち球のシンカーを痛打されるシーンが目立った。球数もかさみ、石川本来の精度のある投球ができなかった。沖縄、石垣島でのキャンプ中からWBC球で練習するなど、準備に余念がなかったが、不本意な登板で終わったと言えよう。

 そして、プロ野球が開幕してからも、石川の調子は上がらなかった。

4月4日・日本ハム戦 先発●
5回120球5安打3奪三振3四球 自責点1

4月11日・オリックス戦 先発●
3回98球8安打5奪三振2四球 自責点4

4月18日・ソフトバンク戦 先発●
5回99球6安打5奪三振4四球 自責点6

 投球内容もさることながら、球数の多さ、効率の悪さが目立つ。3度目の登板の翌日、4月19日に2軍行きを命じられた。

 体調が悪いわけでも、故障をしたわけでもない。本人も「抑え方がわからない」と首をかしげたそうだが、本来の投球ができなくなった。石川は、細かな部分の精度を高めて、NPB屈指の投手になった。それだけに、WBCと言う異なる環境で受けたカルチャーショックが「精密機械」を狂わせたのだろうか。春先に異なるボールを使って異なる相手と野球をすることは、石川のような繊細な技術を持つ投手には、思わぬ影響を与えることがあるのだ。

 しかし、これは一時的なものだと思う。2軍での調整後、石川は再起して、苦境にあるチームを救うときが来るだろう。

【了】

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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