指示待ち人間は作らない…活気あるベンチの声、兵庫「公立の雄」社高の試み

ベンチの選手たちから飛び交う“具体的な”鼓舞の声

「力み、ないね!」

「まだまだ、ここからやぞ!」

 春季兵庫県大会準決勝、8回1死満塁の社(やしろ)のピンチの時だ。明石商を迎え撃った社のベンチは、とにかく活気がある。ベンチでは控え選手たちが前のめりになり、仲間を必死に鼓舞する。大きな声を張り上げ、その場面、その場面でポイントになるような言葉を投げかけるのだ。試合は6-0で完封勝ち。決勝進出を決めた。

 山本巧監督は言う。

「ウチは、練習から常に“会話重視”なんです。掛け声ひとつにしても具体的なことしか言わないんです。“しまっていこう”とか、そういう言葉は、ウチのグラウンドでは飛び交うことはないんですよ」

 それは普段の練習の中でも心掛けている。ノックでも威勢のいい声を張り上げ、練習が終わる頃にはナインの声はガラガラになる。練習試合では、打席に立つ選手にその場で必要な言葉を大声でアドバイス。体だけでなく頭の中でも、常に何が必要なのかを考えながらプレーする。「最初は大変かなと思いましたが、その時その時のプレーに集中しやすくなりましたし、今はもう慣れました。自分たちから動くことができるようになったので、チーム内の活性化にも繋がっていると思います」と高田快飛主将は話す。

 山本監督の意図も込められた試みでもある。

「練習で、指示されながら動くだけの選手が伸びるわけがない。自分で考えて動くには、声にして自分の気持ちを伝えられるようにならないと。試合でもサイン通りに動いているだけでは、選手のためにもならないです。次の行動に向け、考えることを意識するようになると、普段の生活にも表れてくるんです。グラウンド内だけで元気良く返事をしても、教室に戻ればダラダラするような生徒は、できれば作りたくないですね。こうやって言動力を磨くことで、何かが変わっていくと思うんです」

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