OB藪恵壹氏が見る阪神好調の要因 鍵握る交流戦には「岩田起用」のススメ
藪氏が提案する「スイッチヒッターの2番起用」
「あれで阪神は勢いがつきましたよね」と話す藪氏は、去年との差について「やっぱり鳥谷(敬)の調子でしょう。いいスタートを切った後に少し落ち着いたけど、また盛り返した」と話す。ここに来て打率3割を切り、24日の巨人戦では顔面死球で鼻骨を骨折するというアクシデントはあったものの、25日の試合にはフェイスガードをつけて代打で出場。首位キープには必要不可欠な存在だ。
28打席ノーヒットと苦しんだ糸井嘉男外野手、そして主将の福留孝介外野手についても「多少波はあるけれど、打率.280前後を保っている」と評価する。
「若手では中谷(将大)が元気がいいし、高山(俊)は昨季並みに150安打は打ってくれるでしょう。高山はまだ穴はあるけど、ヒットを打っているから、1軍で使いながら育てることができる。状態のいい(伊藤)隼太もいるし、若手の底上げができていますよね。それというのも、143試合で126通りのオーダーを組まなければいけなかった、去年の試行錯誤があるからでしょう。経験のない選手に経験させる1年だったから」
負傷離脱している西岡剛や坂本誠志郎らの戦列復帰が近づくなど、打線はさらに戦力アップが予測される中、藪氏が提案するのが「スイッチヒッターの2番起用」だ。
「ショートの守備に関して言えば、大和が一番上手い。大和が守っていると投手も安心できると思いますよ。しかも、2番にスイッチヒッターを置けると、相手先発が左右どちらでも打線が機能しやすくなる。大和でも西岡でも、スイッチヒッターを2番に置くと面白いでしょうね」
一方、元OB、元投手コーチとして気に掛かるのが、先発投手だという。
「先発1番手のメッセンジャーに、秋山、能見、藤浪と続く形。その後は投げてみないと分からないという投手が多い印象ですね。そこを埋める存在が出ると安定感が増しますね。
チーム防御率はいいんだけど、これはブルペンのおかげ。先発のクオリティスタート(QS、6回以上を投げて自責3以下)が少なくて、40試合が終わったところでQS率は52.5パーセントだった。DeNAに次いでリーグ2番目に悪いですから。
今、打たれても先発陣が踏ん張れるのは、9点差を返せる打線があるから。少々打たれても跳ね返してくれるって思えるのと、もう1点もあげられないって思うのでは、心理的にまったく違います。打線の調子がいいうちに、先発がQSを増やせるようにできるといいですよね」