両リーグで光る2人の新人遊撃手、データで見る守備力、新人王への期待
遊撃手を巡る環境と密接に結びつくチーム状態
今季のNPB各チームの成績は、遊撃手を巡る状況と大きく関わっているとも言えるだろう。
首位を死守する阪神は、今季から鳥谷敬を三塁にコンバートし、北條史也と新人の糸原健斗が遊撃のポジションを争っている。2人のポジション争いが、チームにいい刺激を与えているだろう。一方、低迷するロッテは鈴木大地を二塁にコンバートし、平沢大河を抜擢したが十分に機能せず、2軍降格になってしまった。日本ハムが開幕出遅れたのも、昨年全試合出場した中島卓也が故障したことも要因の一つだろう。今季の楽天の大躍進の中心に、2年目で打撃が急成長した遊撃手茂木栄五郎がいることを考えても、チームの成績と遊撃手は密接に関わっていると言えそうだ。
ヤクルトは32歳の大引啓次が遊撃を守り、彼を脅かす若手が成長していない。球団を代表する遊撃手の世代交代は難しく、巨人の坂本勇人、広島の田中広輔、ソフトバンクの今宮健太のように攻守の中心となる遊撃手を育てることが、各球団の大きな課題だろう。
そんな中、西武の源田壮亮、中日の京田陽太という2人には、揃って新人王の期待が掛かる。両チームともに、近年はポストシーズン進出を逃しているため、希望の星でもある。ちなみに、両リーグの新人王を野手が獲得すれば、1996年に巨人の仁志敏久と日本ハムの金子誠が同時受賞して以来21年ぶり7度目の快挙となる。
2人がこのまま活躍し続け、新人王同時受賞を果たすことを期待したい。
【了】
広尾晃●文 text by Koh Hiroo