ソフトB川島、一発のち苦笑 「カワサキ」のアナウンスに「聞き間違いかと」

値千金の2号2ラン、次の打席前にまた呼び間違い「1回(打席)外しましたもん」

 価値ある一発だった。16日の広島戦(マツダ)。ソフトバンクの川島慶三内野手がリードを広げ、勝利を大きく手繰り寄せるアーチをかけた。

 1点差に詰め寄られて迎えた3回だ。四球で出塁した柳田を三塁に置き、回ってきた第2打席。2ボール1ストライクからの4球目、広島先発のジョンソンが投じた内角のストレートにバットを振り抜いた。打球は敵地の空へと舞い上がると、左翼席へと飛び込んだ。リードを3点に広げる2号2ランに「ドンピシャじゃないと、僕(スタンドに)入らないですから(笑い)。打てて良かったです」と振り返った。

 内川、デスパイネを負傷で欠く中で、普段は控えに甘んじる選手たちが結果を残す。15日の巨人戦(東京D)では初めて4番に起用された江川が3安打1打点と結果を残し、この日は川島が一発。「意識はいつもどおり。チャンスをもらっているので。結果が出ていないですけど、打てて良かったです。いいところで追加点が取れて良かった」と、表情を緩めた。
 
 ハプニングもあった。6回の第3打席。バッターボックスに入る直前だった。打者を知らせる場内アナウンスが誤って「カワサキ」とコールした。今季1号の先頭打者本塁打を放った5月24日のロッテ戦(ヤフオクD)。お立ち台で、6年ぶりにチームに復帰した川崎宗則を引き合いに出してファンの笑いを誘い、ヒーローインタビューでインタビュアーから「カワサキ」と振られていた川島。まさかの呼び間違いに「聞き間違いかと思って、1回(打席を)外しましたもん」と苦笑いするしかなかった。

 名前を間違えられても、この日の働きは価値あるもの。今季1号に続き、2本目も勝利に大きく貢献する一本になった。主役だけではない。随所でいい働きをする“脇役”がいるから、主力を欠いても、ソフトバンクは強い。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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