元レンジャーズ監督、ワシントン氏が三塁コーチとして現場に残り続ける理由

日々野球と向き合える喜び「I LOVE Baseball!!」

 ワシントン三塁コーチは、フィールドに残り続ける理由をこう語った。

「野球が自分を必要としてくれる限り、監督であれコーチであれ、どんな形でもフィールドに立ち続けるだろう」

 内野守備の名指導者としても知られるワシントン氏は、監督時代にも全体練習前に若手内野手の特守に参加し、自らノックバットを振り、1つ1つの動作を丁寧に指導し続けた。それは、今でも変わらない。

「若い選手に自分の野球観を伝えていきたいんだ。真剣に野球と向き合うことが、いかに楽しいことか。併殺プレーで二塁ベースカバーに入るにしても、ベースのどの場所を踏み、送球をどのタイミングで受けて転送するのか。このコツを掴んでいれば一塁で打者走者をアウトにできる確率はグンと上がる。走塁にしても、ベースの踏み方、ベースを踏む足、どういった走路を取るか。これを知っていれば、俊足でなくても賢い走塁はできる。

 最近は、ドラフトから間もなくメジャーデビューする選手が多い。彼らが持つ才能は素晴らしい。ただマイナーで十分な育成期間を経ないままメジャーに昇格してくるから、大味になりがち。少し基礎を教えるだけで、プレーが洗練され、メジャーで生き残る術が身につくんだよ」

 自分が長年培った野球の智慧を、後進たちに少しでも伝えていきたい。ハツラツと話す表情は、日々野球と向き合える喜びに溢れている。

「野球が本当に好きなんですね」

 そう伝えると、破顔して、こう言った。

「I LOVE Baseball!!」

 好きなもの、愛するものと接する時、そこには肩書きなど必要ないのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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